シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「……朱貴との出会いは何処だ?」

「朱貴? 何で朱貴に話が…」

「いいから。朱貴との出会いは?」

「……。奥の院だよ」

「その場所は…普通、誰も近寄れないんだよな?」

「うん。俺が御簾越しでも兄上と謁見できたのは、多分弟だから。周涅が居たのは大二位だから」

「ならば、朱貴が奥の院に居たのは?」


「し、知らないよ。朱貴は謎だらけだから、いまだ俺よく知らないんだよ。だけど俺は、奥の院に居れるんだから、朱貴が凄い奴に違いないと思って…。実際凄い奴だったし、兄上みたいに」


可能性が…高まった。

恐らく、正解だと思う。


その答えに行き着いた煌もまた、硬い顔を俺に向け…そして俺は頷いた。



「御簾越し、翠と接触していたのは…」

「朱貴かよ」



「はあああ!!? 何でだよ!! あれは兄上で…」

「翠、お前はなぜ朱貴には絶大な信頼を向ける? 何故心を許している?」

「……っ、それは……」


「お前の大好きな兄上と似ていたからだろう?」


翠自身、何度もそれは公言していたはずだ。


「だったら、だったら兄上は……」


「その時既に、死んでいたんだ。五皇とお前が崇める皇城雄黄は。

朱貴が何故奥の院で雄黄の代理をしていたのかは知らないが、理由のひとつとしては、雄黄以外の"愛"を信じられないお前の目をそらす為に用意されていたのかもしれん。仮に御簾越し、周涅やその他の位階保持者であったら、お前はそれを見破れるだろう?」


「勿論だよ。俺が兄上を間違えるものか!!」

「もしそれが、兄ではないと判ったら、お前はどうした?」

「騒ぐよ!! 周涅が居たってなんだって、御簾取って確かめて、大声出すよ!! だって、兄上を騙った者が、皇城の奥の院に居たんだ、それだけで由々しきことじゃないか!!」

「………。御簾越し、お前が雄黄と会ったのは、お前が雄黄に会いに行ったのか?」

「奥の院から兄上が呼んでくれたんだ。奥の院は特別な場所だから、御簾越しですまないって、何度も謝ってくれた」

「………。では、もしも兄から声がかからず、ずっと兄と会えずに居たら?」

「会いに行くさ!! それまでは、兄上はどんな時でも、俺と一緒の時間を作ろうとしてくれたんだ。どんな些細なことでも、会いに来てくれたんだ。そんな兄上が忙しいからと俺と会う時間を持たないのは、病気に決まってる。それくらい兄上は、本当に俺を可愛がってくれたから。

もしも長期間兄上が俺に会おうとしなかったら、俺お見舞いに行くか、兄上に差し入れでも持って行くよ!! 周涅に邪魔されたって、直接俺が手渡しに行く!! 頑張ってって、言いたいもの!!」


俺は静かに言った。


「だからだ。お前の気性を見抜けばこそ、兄べったりなお前を騙す必要があったんだ。お前が騒げば、嫌でも騒動は広まる。

別の者が雄黄の代わりをしているということに、引いては御前代理としての…実質№1が居ない理由に、皇城全体が揺らぐから。巨大組織の意向として、お前をおとなしくさせるために…朱貴は駆り出されたんだろう」