「どちらにしても、緋狭姉が安全にいられる手立てはねえってことかよ!!」
煌の荒げた声を耳にしながら、俺は目頭を指で押さえて言った。
「黄の印を施した、雄黄が死ねばどうなる?」
「紫堂櫂!!!?」
俺は騒ぐ翠を片手で制した。
「可能性の話だ。黙っててくれ」
「う……」
「あのねあのね、アカ、アオ…」
「おお、さすがはレイ殿!!」
「チビリス、小小々猿!! お前達も黙ってろ」
静まり返った中、緑皇は答える。
「元々雄黄は黄の印の効力を強めるために、智慧の白皇の力を借りた」
俺は訝しげに緑皇を見る。
「魔方陣だ」
俺は、"約束の地(カナン)"の魔方陣を思い出す。
そして――。
「それは東京にもあるな? 東京に現れたという、黒い塔の近くに」
緑皇は頷く。
魔方陣は、やはり存在する。
「あれを同時破壊しない限り、黄の印の効力は消えぬ」
思い出す。
玲と煌の力を借りて、10個の魔方陣を同時破壊した…あの爽快だった時のことを。
「しかしあれは!! 死者に有効な魔方陣だったはず!!」
死者を生かせる為のもの。
俺の言葉に、嘲るように緑皇は笑った。
「そう。だからこそ、破壊が必要だ」
!!!!!
まさか!!!
顔色を変えた俺に、煌が声をかける。
「おい、櫂。どういうことだ!!?」
「恐らく雄黄は――」
俺は翠を見て、そしてその頭に手を置いて言う。
「死んでいるんだ」
「「はあ!!!?」」
煌と翠が、同時に声を上げた。
「魔方陣のおかげで、生きた…屍」
ああ、ここでもまた"生ける屍"。
しかし、雄黄が先に手を打っていたというならば。
「けどよ、櫂。黒い塔はつい最近出来たものなんだぜ? あれも出現は不思議だけど、近くに魔方陣があるというのなら…雄黄が死んですぐ作れて、効力が持てるものか!!? いやそれより…ご意見番の白皇は死んじまってるじゃねえか!!」
雄黄はあらかじめ――、
「煌、雄黄が死んだのは、つい最近ではない」
自らの死を予期していたことになる。
つまり、魔方陣の効力に今後を託すほど――、
「少なくとも、白皇が存命で魔方陣が準備できる"数年前"には死んでいるはずだ」
死んだ後のことを、危惧していたことになる。

