シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



だから僕は、威嚇始めた化けネコ横目に、


「最後まで先導して案内して下さい」


そう強い語調で言うと、彼女は何故かたじろいだ。


彼女は――


「私の案内はここまでよ」


動かない。

動こうとしない。


まるで見えない壁でもあるように。

ピタリと動かない。


「……。桜」

「はい、玲様!!」


放たれる裂岩糸。


紫茉ちゃんがいるとされている方に行き着く前に、


「糸が光って燃えた!!?」


それも不自然な炎の色で。

黄みがかった暗い赤茶色。


まるでそれは――。


「……私達をハメたのか!!?」


桜から自然と出る低い声に、彼女はただ首を横にふるばかりで。


「こんなこと…聞いてない。聞いてない…!!」

「じゃあ何を聞いていたというんだ!!?」



この炎の色は――、




「彼女は俺の指示で此処に連れただけ。彼女の意思で、紫堂当主ではなく、俺を選んだんだ~」



赤銅色だ。



後ろを振り返った先にいたのは――。




「七瀬…周涅…!!!?」




炎の色を纏う…氷皇と瓜二つの男だったんだ。



「ああ、さっきぶりだね~。葉山ちゃ~ん」


手をひらひら振られた桜が、僕を庇うように前に出る。


周涅に最初の怒声を浴びせたのは――


「貴方、玲になにをしようとしたの!!?」


美咲さんだった。


「別に~? 君みたいに、役立たずな子宮をとってそこに"別なもの"を入れようとした…なんて非道なことはしないよ? だって周涅ちゃん、皇城だからね~」


何処までも、氷皇と同じような軽い口調で。


今……なんて?

美咲さんの子宮がなんて?


"皇城だからね~"


誰が、美咲さんになにを?


赤銅色の瞳が僕に向けられる。

微かな……憎悪すら見えるその瞳を僕に向けておいて、


「あっちで君が捕まらないから、焦っちゃった~。読み違えなんて周涅ちゃんの失態~。ねえ、再会記念に、ちょっとお茶しない?」


顔と口調がまるで合わないまま、その手は――。


「うぐっ…!!!」


美咲さんの腹に入り、彼女はふたつ折りになって何かを床に吐いた。


「つまらないものを"飼わず"、吐き出しちゃえば~? そしたら君は楽になれるじゃないか。そうそう、その調子。

美咲ちゃんは周涅ちゃんの言うこと聞いてくれたから、約束通り…周涅ちゃんがそれを一掃してあげるよ。こうしてプチプチ足で潰してさ。だから吐き続けてよ、はははは~」


積もり積もるそれは――。



「「蛆!!!!?」」



芹霞と由香ちゃんが同時に震えた声を上げて、互いに抱きついた。