シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


バシュッ。


間髪入れずに、今まで桜が居た処に、何かが飛んで来たんだ。

神経弾かなにかだろうか。

それを知ってて言わなかった美咲さん。


「ちっ…。麻痺させるの失敗か。だけど…その次は。人間様の恐ろしさを見せてやる!!」


余程化けネコがお気に召さないのか。



「ニャアニャア!!」


木上から憤慨しているのは、かろうじて残る"ネコ"としての矜持だろうか。

化けネコは真っ赤な目をして、美咲さんを威嚇する。


「フーッッッッ!!!」


そして、美咲さんに向けて火炎を吹いた。


「きゃあああああ!! 何このネコ!!!!」


慌てて逃げる美咲さんの声に、女声は響く。


『捕獲失敗。敵意による攻撃確認。……排除』


途端、僕は"虚数"の膨張を感じた。


「桜ッッッ!!!」


虚数は…青い光を放つレーザー光となり、それをかわして移動する桜へ…いや化けネコへと向けられたんだ。

あれはかつて万年筆から出ていたものと同じで、そして静止した途端に小爆発する。

爆発させるために虚数が流れている。


それは一方向ではなく、あちこちから狙われていて、桜が糸で応戦するにも、そこが何処から放たれているのか、根幹が掴めないらしい。

レーザーの威力に桜の糸は不向きで、更には化けネコの火炎も無意味で。

ならば僕の力で……そう集中し、薄く青い光を向けた。

相殺を。


レーザーの力を感じ取り、それと等しい威力のものをその場所に返せ。

1ミリの狂いもなく…完全に0にしろ。


「師匠凄い……」


「由香ちゃん、玲くんばかりに頼ってちゃ駄目だ!! そうだ!!! 何とかしなさい、おばさんッッ!!! 逃がさなわよ!!」

「よし、神崎。捕まえたぞ!! 神崎に"女の命"を毟り取られたくなければ、ここで化けネコが敵じゃないって宣言しろよ!!」


気になって薄目を開ければ、羽交い締めする由香ちゃんと、髪を掴んで、本当に毟りそうな芹霞の形相に、怯えた美咲さんは…悲鳴を上げて足をバタバタさせていて。


「「クオンは、化けネコだけど仲間なんだッッ!!!」」


逞しい女ふたり。

しかしそちらに気を取られていては、相殺することが…。


「コード№331 三善美咲!! 私の客にあのカバンの変なものを加えて!!! 害はないわ、私が保証する!!! 早く早く止めて!!」


『……。了解しました』


ぴたりと、レーザーが止む。


僕達の勝ちだった。