………。
俺の頭はハテナだらけ。
見事って何だ?
櫂は何をしたんだ?
俺、ただ櫂が…玲の父親が裏世界に居る理由を聞いただけに思ったけど。
"さすがは貪欲な『気高き獅子』"?
どこにその要素あった?
???
"こりゃ一本とられました"と、いわんばかりに笑うクマ、アホハット、こけし。
"ちんぷんかんぷん"のまま、目を点にしているのが、俺と小猿。
あくまで独自マイワールドに突き進むのが、チビリスと小小々猿。
それらの類型に属しないのが、櫂と玲の父親。
そしてそのふたりの立場は逆転し、今や櫂が悠然と…そして男は苦悶の顔。
一体、何が起こった?
何で玲の父親が裏世界に居ることで、こうなった?
判らねえ!!!!
俺は再び頭を抱えて、地団駄を踏む。
「くくくくく。"どじょうすくい"は違うのにね。あの勘違いワンコ」
「ふむ…。ワンコ殿の勘違いを早く直してあげねば…」
………。
「小猿!! その勘違いチビ共を黙らせろ!!」
俺に怒鳴られた小猿は、またもや飛び跳ねた。
「さて、答えて貰おうか」
櫂が超然とした笑みを浮かべた。
「お前が"ここ"に居る理由。
お前は裏世界の"ここ"が何故必要だった?」
櫂は"ここ"を強調する。
「それは自ずと繋がるだろう。
表を捨て裏世界にきたお前が、機械で統括した表世界の情報が何故まだ必要だったのか。
久涅が無効の力を手に入れ、黒皇となって変貌しても…それでもお前がまだ、"ここ"で"それ"をしている理由」
"それ"?
「クマを使わした"必然"の氷皇。そしてクマの先には、"ここ"にいるお前。氷皇は狡猾で侮れない奴だが、無意味なことはしない。ただのお前の恨み話に付き合わせる為に、ここに導こうとしたわけではない。
必然で結ばれた意味が、"ここ"にある。
さあ、答えろ」
櫂はもう一度繰り返す。
「お前がここに居る理由は?」

