シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「百合絵さんはなんで警護団に入ったの? 首に食い込んでたペンダントの写真、旦那さんと子供が居て…めっちゃ美形家族だったけれど。離婚だったか死別だったか忘れちゃったけど」

それに対しては玲くんは肩を竦めた。


「百合絵さんは寡黙だからね、僕もよく知らない。ただ紫堂の純粋培養ではないはずだよ? スカウトだったはずだ、確か…当時団長だった桜のお父さんが身元保証人となり、中途採用試験をさせたはずだ」

「父が…外部の者を引き入れて身元保証? しかも即戦力が求められる中途採用は、難関なのに…」


桜ちゃんがそのまま口を噤んでしまった。

余程衝撃的だったんだろう。


難関試験…。

東大とどっちが難しいんだろう、などとすぐ考えてしまったあたしは、まだ紫堂の警護団を理解していないからだろう。

普通の企業のように、会社のお偉いさんが履歴書見て、面接したり筆記試験…などではなく、実力主義の紫堂の面々を納得させる特殊項目の"実技"を披露したんだろう、百合絵さんは。


得意技は"根性"と"頭突き"だけのあたしなら、まず無理だ。

由香ちゃんが密かに開眼したがっている"邪眼"でもあれば、合格出来るんだろうか…。


「僕は実際には彼女の、警護団としての活躍は見ていない。けれど噂では優秀だったはずだ。それが何故、ただのメイドに転向したのかは誰も知らない。僕が彼女を初めて知ったのは、既にメイド服を着ていた…当時、僕が次期当主になったばかりの頃だ。だから僕としては、彼女はメイドとして紫堂に入ったのかと思っていた程で。元々は警護団出身だと百合絵さんに聞いた時、驚いたよ」


ミステリアスウーマン、藤百合絵。

見た目からしてもう、意外性が満載すぎる。

紫堂の警護団に入団するには、それくらいのインパクトが必要みたいだ。


さすがの化けネコの王様も、百合絵さんを怖がっているし。


その王様は…お眠りのようだ。

それとも百合絵さんの話題になったから、寝たふり?

狸…ならぬ、化け…ハゲネコ寝入り?