シンデレラに玻璃の星冠をⅢ





ビービービー!!!


その時、あたしの…玲くんの時計がけたたましく音が鳴り、思わず驚いて飛び上がってしまう。

玲くんは時計横のボタンを押して音を止めると…また違うボタンを押して、画面を覗き込んで言った。


「よし、百合絵さんの作業は終了したらしい。その時計は、電力量の探索機に連動している。前に紫茉ちゃんの家でノートパソコンでグラフ化した…電気量の測定値が、監視時間中に変化を見せた時、警告音が鳴るように設定してたんだ。百合絵さんによって、電力量が変化したようだ」

玲くんは顔を綻ばす。


「もう、電力量はMAX状態なのかかい、師匠?」

「いいや、ここぞという時にMAXにするための…今は準備段階だ。それでもその帯電量はかなりのものだ。だからこその百合絵さんだけどね」


百合絵さん…玲くんにとって凄く役の立つメイドさんらしい。

機敏な巨漢、しかも電気をモノともしない。


「ああ、早く更正施設の機械をぶんどりたいな、やりたいことは山にある。…待てよ、百合絵さんは車持ちだよな、連絡取れるか?」

そして玲くんは携帯電話を取出して、百合絵さんにかけ始めた。


「…ああ、ドライブモードらしい。メールも受け取れないと言われた」


………。


「ドライブモードのアナウンスって、メールのことも言ってたっけ?」

「ああ、百合絵さんが吹き込んだメッセージなんだよ、ほら」


玲くんの携帯を耳に充てて聞いて見た。


『只今、私藤百合絵は運転中につき、道路交通法の規則に従って、通話もメールも致しません。緊急の場合でも、いち日本人として、法律を優先致します。申し訳ございませんが、時間をおいてご連絡下さい』

最後に、ぷふ~という音で、アナウンスは途切れた。


内容は…まあいい。喧嘩腰だけど、おかしなことは言っていないし。

だから驚くべきことはそれじゃなくて――

「この軽やかな…声優さんのような美声は、百合絵さんなの!!?」

そう、声色が…全く違ったんだ。

あたしが聞いていた、あの低いもそもそ声ではない。

"ぷふ~"だけが記憶通り。


「これは百合絵さんの"営業用"の声なんだ」


何でもないというように玲くんが笑った。

あたしと同じように携帯からの音声を聞いた由香ちゃんと桜ちゃんも、引きつった顔をしている。


「七色の声を持つんだよ、百合絵さん。だからこそ、警護団では調査役として重宝されていたらしい。実際腕もたつからね。…なんだよ、皆。そんな珍しいものじゃないだろう? 実際、桜だって女装を調査に活かしてたじゃないか」

……ああ、インパクト大の前例があったから玲くんは、桜ちゃんがゴスロリの格好していても、煌と接する時に豹変しても、平然と受入れてたんだ。