役員室といっても、大抵そこにいる人は決まっている。 この会社の社長の甥。 まだ年も若く三十代前半。 役員なんて年寄りが多いものだか、彼はその中で最も若く、ここを取り仕切っていた。 「ああ、悪いね。呼び出して大橋くん」 ノックしてドアを開けてその向こうには、仕立てのいいスーツを纏いこちらを見据える城田常務の視線があった。 俺はとりあえず中に入り、城田常務の前に立った。 「大橋くん、頼みたい事があるをだか、 ちょっと仕事とは関係ないんだか、聞いてくれないか?」