少年は無回答の老人の隣に座り込んだ。 「なにをしているの」 と尋ねる。 「絵を描いているんじゃ」 と老人が答えた。 「キャンパスなんてないじゃない」 「我々にキャンパスが与えられる余裕があるなら、もっと良い物を求めるじゃろうて」 老人は真顔のまま言った。 その表情は岩のように固く、まるで彼が彫刻そのもののように思えた。