刑務所にて罪を償い、出所してからも自身は被害者に償うんだと――聖人気取りの犯罪者。


心を改めようが、入れ換えようが、過去を帳消しにする奴が憎い。


いっそ殺したいのに、そうすれば次はオレが犯罪者。だからこそ、あいつの代替となろう奴に八つ当たりをした。


“すっきり、したいんだ。やり返す奴が目の前にいないから、代替で我慢してやる”。


幾度となく拉致られたが、それは過剰防衛にならないがための、石橋。


こうこうこういうわけでと、思いっきり叩ける石橋を作り、相手を再起不能にする。


『仕方がない』『怖かったね』と周りが“可哀想な子”だって同情してくれるように、合法的な暴力をしてきた。


自分勝手な八つ当たり。そんな惨めなことに嫌気さすとき、あの男を見つけた。


家庭を持ったんだろう。いいパパ面をした奴が、妻娘を連れて買い物をしていた。