自分勝手だからこそ、理不尽を当て付けた。
お前(支え)なんか必要ない、と。
渉の胸ぐらを掴む手を離し、体をずらす。自分から去ってもいいが、歩く気力もない――
「……」
そんな、“こじつけ”。
培ってきた矜持(孤高)が、犬童自身にさえも分からぬ本音を揉み消す。
期待、したんだ。
泥から引き上げてくれた力強さ(感触)が、まだ腕に残っているから、ただ、“ボクは期待した”。
――助けてほしい。
何が助けかも分からないのにと、オレが喚く中、座ったままの足は立たず、俯いた。
さらさらとした砂に、斑点がぽつぽつと。息がしにくいのは、呼吸器官を一つ失っているから。


