「――、っ!」
心の破裂を感じ、犬童が腕を無造作に動かした。
拳のまま振るえば、必然的に密着する渉に当たる。
力は微々たるものでも、あの男たちにつけられた“一度目”があれば、“二度目”は触るだけでも痛い。
怯んだ渉の腕から逃れ、勢いつけて、体当たりをぶちかました。
あの路地からそう遠くない場所にある公園。さらさらとした砂が、土埃へと早変わった。
乾ききった唇に砂は付着しないが――“目に溜まる”。
「ざけやがって!」
目に痛いほど付着した砂の意味など、掠れた声同様に知りたくない。
倒れた渉に馬乗りになり、その胸ぐらを掴み、一度頭を地に打ち付けた。


