火事場の馬鹿力を出すほど、沼地に沈む奴に手を伸ばす。 まとわりつく泥、己でさえも汚れてしまうのに――むしろ、“こいつも”。 「壊れても、歪んでも、矯正不可なわけじゃない」 それを、“知っている少年”は、色(経緯)は違えど犬童と同じ場所(沼地)にいた。 「近くに誰かいるだけで、“支え”になってくれるんですよ」 壊れていた、歪んでいた。 でも、それでも人は――