正当防衛を振りかざす。これ以上は、過剰防衛でしかないが。
「因果応報って、知ってるか?」
小柄な体型にはそぐわない拳が、男の鼻を折った。
「弱い奴を殴って楽しいか?『やめて』と泣く奴は爽快か?血ヘド吐く奴を見るのにハマったか?」
二人交互に、殴る蹴る。
「自分が馬鹿だからって、馬鹿なガキ相手にして、舞い上がっちゃった?この世の奴らはみんな奴隷って勘違いしちゃった?とりあえず殴れば何でも思い通りにいくって、思い込んじゃった?」
赤い塗料よりも濁った赤が、男の鼻や口から溢れた。
「ふえぇ、おにいさーん、ボク分かんないよぅ。――なんで、てめえらみたいな犯罪者が、のうのうと生きてんだよっ、ええっ。節操ねえ下半身ぶら下げて、表出るな!人間社会から消え失せろ、てめえらみてえのがいるから……つぅ!」


