男の娘、革命!



90デシベルの騒音が静寂を蹂躙する。


「まずっ」


犬童が動けないと見越したため、男たちにとっては不意打ちでしかなかった。


すぐさま防犯ブザーを消そうにも――あろうことか、犬童はそれを投げ飛ばす。


実を言えば、防犯ブザーを変質者が届かぬ場所に投げるとは、対策としては的確。


防犯ブザーを奪われ壊されたならば元もこもないし、変質者が投げられた防犯ブザーを追うならその内に逃げるなり、もしくはブザーを止められないと変質者側が逃げる。


男たちもまたブザーが鳴っては人が来ると逃げ腰になるのだが――犬童は最初から、こいつらを逃がす気などなかった。


焦る男たちは隙だらけ、犬童よりも、“駆けつけて来よう誰か”ばかりを気にして、その殺意を知り得なかった。