片栗粉をランドセルから取り出した手が震えたことに、かぶりを振る。
「水ねぇ……」
そんな“ごまかし”を加えて、地に置いたランドセルを見つめて、沈鬱する。
防犯対策グッズが詰め込まれたピンクのランドセル。キーホルダーとしてついている、防犯ブザーのウサギが犬童を見ていた。
「……、ちっ」
嫌なこと思い出しちまったかと、炭酸が飲みたくなった。
いつもそう、イラつく時は炭酸――喉を焼いてくれるような刺激が欲しい。
気を、紛らわしたいから。
「あ゛ー、くそっ」
八つ当たり気味にランドセルを叩く。
ぼてりと横たわるランドセルの中身はこぼれなかったものの、口が空いた。


