「おう、二号。んなとこに立ってんな、こっちこいっ」
ロープを持ったまま下がる溝出が、ロッカーの直線上にある空き教室に入る。
遊びなくまっすぐに張り詰めたロープは足元付近にあり。
「ヒャッハー、これであいつを転ばしてやんぜえぇぇ!」
意気揚々と喚くヒャッハーに、犬童が拳骨食らわしたのは言うまでもなかった。
「ごぶぶっ!な、なんだっ、脳天に鉄拳入ったぞ!」
「えー、気のせいだと思うなぁ」
「は、気のせい?――じゃねえよ、頭蓋骨陥没してんじゃねえかあああぁ!」
(してんなら、死ねや、ザコ)
ちっ、と溝出に分からぬよう舌打ちする。
(使えるもんは~とか思ったが、使えねえ、マジ使えねえボロ切れ以下かよっ。なんでこいつ生きてんの?産まれてきた意味ある?下半身ねえ、男の勲章ねえヒヨッコが、どうしてヒャッハーできんだか。自覚しろよな、恥ずかしい存在だってことを。役に立たねえなら立たねえなりに、ダンゴ虫みたく岩下で丸まってろや。窓際社員よか惨めな余生を過ごせばいいものの、あー、もう、ほんとシネッ)


