「分かりました、このままでいいんで、蜘蛛切(刀)をカチャッとしないでください」
苦労人なわたるんであった。
(このまんま、屋上コースで、ズッコンバッコンすんなら、それ撮るのもいいな。狐面には悪いが、変態に近づく変態ってことで、痛い目見ろや。頭に脳じゃなくてメロンパンあるような世の中の変態は、みんな消えちまえ)
『へえ』とは言えない犬童くんの内心である。
「あ、冬月くん。ちょっとお手洗いに」
「僕も行きますえ」
「性別不詳じゃないんですか……」
「わたるんはんと離れたくないだけどす。わたるんはんのやることなすこと、みーんな好きでいられますえ、僕。汚い言う奴いるかもしれへんが、愛する人がやることなら、全て愛しい。その生理現象でさえも、わたるんはんが生きている証ならば、ああ、何なら、僕が手取り足取り腰取りナニ取りで――」
「ここいてください、お願いですから」


