「悪い商品ではなさそうですし、弊社で1、2を争う取引先でもありますし。こちらぜひ、契約させていただきます」


めちゃくちゃ爽やかな笑顔でそう答えると、その人は立ち上がる


「大変申し訳ありませんが、初めがバタバタしていたので、申し遅れました。」


そう言って、俺の上司に名刺を差し出す


俺はその名刺の名前が目に入った瞬間、息が一瞬止まったように苦しくなった


だって...



「前担当の蔵本が転勤のため、私がこれから取引の方承ります。真田昇と申します」




忘れかけていたあの頃の記憶


あまりにも動揺してしまい、俺は俯く



それなのに...