令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「ああ、そうね。さっきのはあたしの被害妄想というか、妬みというかだけど、こっちの方が普通かもしれない」

「うんうん」

「それはね、あっちも誰かを連れて来て、その人を栞に会わせたいのかな、って……」

「へっ? ……ああ、なるほどね」


私は瞬時にある事を想像した。愚図な私にしては珍しく、一瞬で閃いた。それは私の推理、というよりも希望的観測なんだけど……


「でもね、ひとつ腑に落ちないのよね……」

「え、何が?」

「だとしたらさ、誰々も一緒だからって書かない? 普通はさ、常識として……」

「そ、そうだよね……」


いったん希望に膨らんだ私の胸が、あっという間にしぼんでしまった。
松本さんに会えるかもって、期待したんだけどなあ。


「でも、そっちの可能性が高いと思ったから、“そちらもお二人ですか?”ってメールしたのよ。返事を待ちましょう?」

「うん」


でも、結局榊原さんからの返事はなかった。