令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「まっさかー。そんなはずないよ……」

「どうしてそう言えるの?」

「どうしてって……」


そんな失礼な事、榊原さんがするとは思えなかった。榊原さんって、とても誠実そうな人だったから。それを言いたかったのだけど、絵理の勢いに負けてしまった。


「あんたは可愛いしさ、お金持ちのお嬢様だし、男が寄って来ても不思議はないのよ」

「そんな、私なんかより、絵理の方が……」

「嫌味っぽくてごめんね? でもさ、それが客観的な事実だと思うのよ」


私なんかより絵理の方がずっと綺麗だし、男の人から好かれるタイプだと思う。それを言いたかったのだけど、それも言わせてもらえなかった。私って愚図なのかなあ。

あ、そうだ。


「ねえねえ、もうひとつは何?」


と聞いてみた。話題を変えたくて。


「もうひとつ?」

「もうひとつあるんでしょ? 絵理の推理」