令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「それで?」

「ん?」

「どうなったの? あなたと、その松本悠馬さんって人……」

「ど、どうもしないよ。“ごきげんよう”ってご挨拶して、お別れしただけ」


いくら嘘が嫌いな私でも、ママに本当の事は言えない。お会いしたばかりの男の人と、キスしちゃった、だなんて……


「携帯の番号は?」

「え?」

「教え合ったりはしなかったの?」

「してないけど?」

「なんだ、つまらないわね……」

「つまらない、って……?」

「そんなに素敵な人だったら、少しお付き合いしてみればよかったのに」

「お、お付き合い?」

「そう。栞も年頃なんだから、そういう事をしてもいいのよ?」


そうなんだ……。だったら、松本さんのお誘いをお断りすべきじゃなかったのかな。