令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「ママ、ただいま……」

「あら、お帰りなさい」


ママはソファに座り、雑誌を読んでいた。ママはもうすぐ50歳になるけど、見た目はもう少し若く見える。パパよりも少し上、といった感じに。

実際はパパより8つも上だけど、それは吉田家では禁句になっている。うっかりその事に触れてしまうと、ママはカンカンに怒り出す。そんなに気にする必要はないと、パパも私も思っているのだけど……


「お夕飯は食べたのよね?」

「う、うん」


本当は殆ど食べていないのだけど、食欲は全くなかった。


「では……」


と言って私は早々にリビングを出ようとしたのだけど、


「ちょっと待ちなさい」


ママに呼び止められてしまった。


「なあに?」

「聞かせてちょうだい?」

「何を?」

「決まってるでしょ? 合コンはどうだったの?」


あちゃー。
ママには正直に、今日は合コンで帰りが遅くなると言ってあった。