令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「ああ、もうめんどくせえ!」


俺は吉田栞の肩をグイッと掴み、彼女は「きゃっ」と小さく悲鳴を上げた。

吉田栞とのやり取りが、本当にめんどくさくなった。力ずくでヤッちまって、後は何とかなるだろう。


「なあ、そんな意地を張らずに、俺と楽しもうぜ?」


と俺が言うと、


「楽しむって、何をですか?」


と吉田栞は真顔で聞いてきた。こいつ、カマトトか?


「決まってんだろ? 俺、上手いんだぜ?」


勢いでそう言っちまったが、実際はどうなんだろうか。そんなの考えた事もない。今度、杏里さんに聞いてみるかなあ。


「何がお上手なんですか?」


吉田栞は、しれっとした顔でそう言った。

こいつ、まだカマトトぶってやがる。それとも、本当に知らないとか?
まさかな。二十歳近い年で、それはないだろう。


「だから、アレだよ。俺の“趣味”さ」


皮肉たっぷりにそう言ってやった。俺がふざけて言った「趣味は女とヤる事」っていうのは、こいつもしっかり聞いてたはずだ。これでもう、カマトトぶるのはおしまいだろう。


吉田栞を見ていたら、ちょっと考えるような表情をしたかと思うと、見る見る顔が真っ赤に染まっていった。