令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

吉田栞はバカ丁寧にお辞儀をすると、俺に背を向け歩いて行った。
“ごきげんよう”なんて言う奴、初めて見たぜ。さすがは“お嬢様”だな。


もちろん、このまますんなり帰すわけには行かない。俺はある名案を思いつき、吉田栞を呼び止めた。


「ちょっと待てよ。だったら一緒に帰ろう!?」


そして彼女の前に回り込み、少し屈んで「な、いいだろ?」と低姿勢で言うと、吉田栞はちょっと考えてから、


「はい、わかりました」


と言った。やったぜ!

吉田栞が乗るタクシーに俺も同乗し、うまいこと丸め込んでホテルへ直行、という作戦だ。いきなりホテルが無理そうなら、その前にどこかで酒……はこいつは未成年だからダメとして、お茶か?

まあ、二人になれば何とでもなるだろう。そうとも知らず、バカな女だぜ。