令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

こいつの笑った顔も初めて見たが、まるで花が咲いたみたい、っつうか、なんか知らないがドキッとした。


「な、なに笑ってんだよ?」


噛んじまった。なんか調子狂うなあ。


「とにかく、どっか行こうぜ? ほら」


そう言って、俺は吉田栞の腕を掴んだ。コートの上からでも、か細い腕だと分かった。

こいつと喋ってると俺の調子が狂うから、強引に行く事にした。


「放してください。今日は本当に帰ります。遊ぶのは今度にしてください」


今度? 今こいつ、確かに“今度”って言ったよな?
って事は、嫌じゃないって事だよな?

よし、ここは強気で行こう。


「今度……? いやいや、ダメだ。今行こう?」

「もう、我が儘言わないでください。では、私はこれで。ごきげんよう」


我が儘? 俺の事か?
確かにそうかもしれないが、こういう場面で使う言葉か?

本当に調子狂うよなあ、こいつと話してると……