行きがけに、二人はコンビニに寄った。


「栞は何か買うものある?」

「ん……ない」

「じゃあ、ここで待っててくれ」

「えー、私も行く……」

「ダメだ。待ってろ」

「はーい」


栞は抗議を込めて頬を膨らませたが、栞に買い物を見られるわけには行かない悠馬だった。なぜなら、悠馬の買い物は、自分の下着と避妊具だからだ。


栞にそれと気付かれないように、ササッと買い物を済ませた悠馬は、ついでに妹の由紀に電話を入れる事にした。すっかり主婦と化した由紀には、事前に外泊を伝えなくてはいけないから。


「あ、由紀か? 俺だけど、今日は帰らないから」

『へえー、どこに泊まるの?』

「こ、弘司のところさ」

『弘司?』

「そう。知ってるだろ? 大学の悪友だよ」

『ああ……。でもさ、今日って栞さんとデートだったんでしょ?』

「そ、そうだけど、ちょうど栞と別れたところに弘司と出くわしたんだよ。で、泊まりに来いって……」

『そうなんだ……』

「そういう事。じゃあな?」


由紀をごまかし、ホッとしながら携帯を切ろうとした悠馬だったが、


『あ、ちょっと待って?』

「なんだよ?」

『栞さんによろしくね?』

「わかった」

『きゃはは、お兄ちゃん引っ掛かった!』

「違うんだ。今のはだな……」


既に通話は切れていた。