そして、運命の日はやって来た。


悠馬と栞はいつもの休日と同じくデートをしていたが、いつもと違って二人ともぎこちなく、しかしそれに気付かぬ二人であった。なぜなら、互いにテンパッていたからだ。


栞は悠馬を家に誘いたいがそれを口に出せず、一方の悠馬は栞をホテルに誘いたかったが、やはりそれを言えずにいた。


二人が映画館を出た頃には、既に西の空に日が沈みかけていた。


「えっと……」

「あの……」


互いの声が重なってしまった。


「あ、ごめん。何?」

「私こそごめんなさい。悠馬さんから、どうぞ?」

「そうか? えっと……寒いな?」

「あ、はい、少し……」

「ふ、風呂に入りたくないか?」


そう言ってから、悠馬は後悔した。いきなり“風呂”はないだろう、と。あまりに唐突だった、と。だが、いきなり『ホテルに行こうか?』とは言えず、考えた末の苦肉の策だったのだ。


ところが、栞からは意外な反応が返って来た。