それから数日後の、週末を控えた夜のこと。


「栞、明日から亮と私は北海道へ行くんだけど……」

「たしか、支店長さんの歓送迎会よね?」

「そうなの。栞も一緒にどうかしら?」

「え? なんで?」

「それがね、婆やも実家のお父様が具合が悪いそうで、急遽帰る事になったの。一晩だけだけど、栞を一人にするのが心配で……」


という事は、明日の夜はこの家に私だけ? こ、これは、またとない絶好のチャンスだわ!


「だ、大丈夫だよ、私一人で。もう子どもじゃないんだから……」

「そう? 本当に大丈夫なの?」

「ぜんぜん大丈夫」

「わかったわ。じゃあお留守番をお願いね? 戸締りと火の元だけは十分気を付けるのよ?」

「はーい」


やったー!


「あ、ちょっと待って?」


意気揚々と部屋に戻ろうと思ったら、後ろからママに呼び止められた。


「それと、私はまだお祖母ちゃんにはなりたくないからね?」


ガーン……
ば、ばれてる!?