「そんなに驚く事じゃねえだろ?」

「いやいやいや、驚くね。だってさ、おまえ達は付き合ってどのくらい経つ?」

「5ヶ月」

「5ヶ月だったら普通はやってるだろ? ひょっとして悠馬、童貞なのか?」

「まさか!」

「だよな? だったら、何でだよ? ああ、栞ちゃんのガードが固いんだな? 彼女ってまだバージンなんじゃ……」

「やめろ! 栞の事を詮索するんじゃねえ!」


つい弘司を怒鳴ってしまった。弘司が“栞ちゃん”と呼ぶ事すら嫌なのに、バージンとか、他の男に言わせたくなかった。栞が汚されてるみたいな気がして……


「そんなに怒る事ねえだろ? だったらこの話はやめだ」


弘司が珍しく怒った。俺が大人げなかったからなのだが。


「すまん。俺、栞の事になると変なんだ……」

「そうか。かなり重症だな?」

「え?」

「栞ちゃんに相当惚れてるな、って事さ」

「ま、まあな」


本当は“まあ”どころじゃない。好き過ぎて頭が変になるくらいだ。いや、既に変になっているのかも……