「悠馬さん、悠馬さん……?」


私は、悠馬さんの肩に手を当て、彼の名を何度も呼んだのだけど、悠馬さんはピクリともしない。


「イヤーッ!」


悠馬さんが……死んじゃった?


「馬鹿野郎、てめえは何て事したんだよ!」

「だって、こいつが先にやったんですよ。てっきり杏里さんだと思って戸を開けたら、いきなりガツンって……」

「だからっておめえ、鉄パイプで頭殴るのはやり過ぎだろうが……」

「兄貴、とにかく逃げましょう。この子に携帯を返して……」

「そ、そうだな。ほら、嬢さん、これで救急車を呼びな。もう手遅れかもしんねえけど」


サブという人は私の手を取り、その手に私の携帯を握らせた。


そうだ、救急車を呼ばなくちゃ。

ああ、でも指が震えて携帯のボタンを押せない。それ以前に、救急車を呼ぶには何番を押せばいいの!?


私がパニックになっていると、


「栞!」


私の名を叫ぶ、男の人の声がした。