俺は大きな通りに出て、空車のタクシーを拾った。そして、


「ここにお願いします。大至急!」


貸倉庫の住所が書いてある紙切れを運転手に見せた。


「えーと……、はい」

「どのくらい掛かりますか?」

「時間ですか?」

「はい、もちろん」

「20分くらいですかね……」

「とにかく急いでください」

「はい……」


のんびりした口調の運転手で頼りなかったが、いざ走り出すと意外と飛ばしてくれた。

それでも20分掛かるのかあ。長いような短いような……

おそらく、ちゃんとは間に合わないだろう。と言うより、こうしてる今も、栞は……


栞があのゴロツキ達に乱暴されていると思うと、可哀想で涙が出て来た。1分でも1秒でも早く、栞を地獄から助け出してやりたい。俺はその一心だった。