令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「どうしようかなあ……」


杏里さんは俺から視線を逸らし、そう言って歩き出した。俺は奴らの居場所が書かれた紙切れを手に掴み、杏里さんの後ろを歩いて行った。杏里さんは、なぜか台所に向かっていた。


早く“そうして?”って言えよ!


俺がイライラしていたら、杏里さんはシンクの前で止まり、何やらがさごそしてると思ったら、クルッとこっちを振り向いた。手に包丁を持って……


杏里さんは今、左手は耳に当てた携帯を持ち、右手で包丁を握っている。刃先を俺に向けて。

状況が解らず、唖然とする俺を杏里さんはキツイ目で睨むと、サブという奴に言った。


「待たなくていいから、今すぐやっちゃって?」


と。