令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「え? なぜかって? それはさあ、これからあたしもそっちへ行こうかなって……。あの鼻持ちならないお嬢様が、男達に陵辱される姿を見たいからよ」


杏里さんの演技というか嘘の上手さには恐れ入ったが、それにしても杏里さんって余程栞が気に入らないらしいな。栞から貰ったハワイの土産も、中を見ないでゴミ箱に捨てたって言うし……


「ああ、貸倉庫なんだ……。住所は?」


杏里さんはボールペンを持ち、紙切れに奴らの居場所を書き始めた。俺はそれを上から覗いたが、どこかの貸倉庫らしい。そこがここから近いのか遠いのか、住所を見てもよくわからなかった。


「え? あたしが行くまで女をやるのは待つかって?」


その言葉に俺はハッとなり、すぐにうんうん、と何度も杏里さんに頷いて見せた。杏里さんがそこへ行く事はたぶんなく、行くのは俺だ。俺が行くまで待たせておけるなら、こんな上手い話はない。


俺は笑い出したい気持ちで杏里さんが答えるのを待った。いや、実際に顔がにやけていたかもしれない。ところが……