令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「大げさな事言ってんじゃねえよ」

「本当なんです。女の子が拉致されて、早く助けに行かないと、奴らに殺されるかもしれません」


“殺される”というのは誇張だが、乱暴される事は栞にとってそれに匹敵するぐらいの惨事だと思う。俺にとっても、だが。


「ねえ、それと鈴木さんはどんな関係なの?」


“鈴木”というのは杏里さんの苗字だ。


「はい。その女の子がどこに拉致されたか、たぶん杏里さんなら分かると思うんです」

「ああ、そういう事?」


やや年配の女性は頷くと、杏里さんの部屋のドアをノックし、


「鈴木さん、開けてあげて!」


と、大きな声で言ってくれた。するとパジャマ姿の男も、


「それは大変だな」と言い、やはり大声で「鈴木さん!」と叫んでくれた。

他にも2〜3人が集まり、みんなで叫んでいたら、カチャと音がして中からドアが開いた。