令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

そこで俺は、「歩き疲れたからどこかで休もう?」と栞に嘘をつき、栞の手を引いてホテル街へと向かった。


そして昼間だから当たり前かもしれないが、人通りの少ない狭い路地に入ると、一戸目のホテルの前で歩みを止めた。


背後に人の気配は感じられないが、奴は俺達の後をついて来てるはずだ。そしてこっそりと俺達を監視しているはず。

そんなあいつに解りやすいよう、俺は栞の肩を抱き寄せ、栞の耳元に口を寄せて囁いた。「イヤか?」と。


栞はたぶん抵抗すると思うが、それで構わない。問題は、奴が止めに現れるかどうかだ。もっとも、奴がBGだという事は間違いないと思ってるから、そうなるに決まっているのだが。


ところが、ちょっとした誤算が起きた。いや、ちょっとどころじゃないかもしれない。

てっきり抵抗すると思った栞が、もじもじしながらも「ううん」と答えたのだ。