「あの……車を停めて、降ろしてもらえますか?」


取り敢えずそうお願いをしてみた。


「おい、聞いたか? “降ろしてください”だってよ」

「こいつ、本当にお嬢様なんですねい?」

「そうらしいな。おい、お嬢様。あんた、この状況が分かってる?」

「あ、はい。だいたいは……」

「だったら、降ろしてやるわけねえだろ?」

「そうですか。では、どこへ行くのでしょうか?」

「“どこへ”かって? そんな事より、自分がどうなるかを心配した方がいいんじゃねえか? お嬢様よ」

「え? 私はどうなるんですか?」

「そりゃあ、決まってんだろ? あんたは俺達に、滅茶苦茶にされるのさ」

「滅茶苦茶って……うそ! やめてください!」

「ふー、やっと分かってくれたようだな。調子狂うよなあ、まったくよ……」


どうやら私は、すごいピンチらしい。

悠馬さん、パパ……助けて!?