令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

一緒に帰る?
うん、それくらいはいいわよね?


「な、いいだろ?」


松本さんは、立ち止まった私の前に回り込んだ。


「はい、わかりました」

「よし。じゃあ俺はコートを取ってくるから、タクシーを拾うのはそれまで待ってくれ」

「タクシー、ですか?」

「ああ、そうさ。タクシーで帰るんだろ?」

「まさか。電車で帰ります」


よくは分からないけど、ここからタクシーで帰ったらいっぱいお金が掛かると思う。そんな贅沢をしたらパパやママに叱られるし、第一お小遣いが無くなってしまう。

あ、いけない。レストランのお金、払ってなかった。絵理が立て替えてくれるかしら……


「おいおい、吉田グループのご令嬢が電車かよ?」

「そうですよ? いけませんか?」


松本さんは何を言ってるのかしら。電車で移動するのなんて、みんなしている事でしょ?


「ああ、もうめんどくせえ!」

「きゃっ」


不意に松本さんに、両肩を掴まれてしまった。