令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「うふふ」

「な、なに笑ってんだよ?」


いけない。つい笑っちゃった。だって私、なんだかんだ言っても、ちゃんと松本さんと会話してるんだもの。人見知りの激しい私が。

それがなんだか嬉しくて、つい笑ってしまった。


なんか松本さんって、話してみると親近感みたいなものを感じる人だわ。やっぱりパパに似てるからかなあ。

それと松本さんって、言葉使いは良くないし、マナーもあまり良いとは言えないみたいだけど、絵理が言ったような"不良”とは違うと思う。

むしろいい人なんじゃないかって思う。なんとなくだけど……


「とにかく、どっか行こうぜ? ほら」


松本さんはそう言って、私の腕を掴んだ。松本さんの手はがっしりとしていて、ちょっと痛かった。


「放してください。今日は本当に帰ります。遊ぶのは今度にしてください」

「今度……? いやいや、ダメだ。今行こう?」

「もう、我が儘言わないでください。では、私はこれで。ごきげんよう」


私は松本さんの手をやんわりと振り解き、丁寧にお辞儀をしてから背中を向けた。


「ちょっと待てよ。だったら一緒に帰ろう!?」