令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「なんで俺がそれを知ってるのかって? あんた、すぐ顔に出るんだな」


“すぐ顔に”って……そうなの?


「隠れて聞いてたのさ。あんた達の会話を」


ああ、そうか。でも、人の話を隠れて聞くって、マナー違反じゃ……


「あんた、彼氏がいるくせに合コンなんかに来るんだ? 大人しそうな顔して、案外お盛んなんだな?」


“お盛ん”って、どういう意味だろう。
そんな事より、早く誤解を解かなくっちゃ……


「と、俊樹さんは彼氏じゃありません。ただの幼なじみです」


ふうー。やっと言えた……


「へえー、幼なじみか。まあいいや。あんた、具合が悪いんだろ? どこかで休んで行こうぜ? 俺も帰りたかったところだし」

「あ、いいえ、大丈夫です。もう治りましたから……」

「もう治っただあ? 仮病かよ?」


そんなあ、仮病だなんて、酷い……

でも、そう思われても無理ないか……
まさか、『あなたから離れたらすぐ治りました』とは言えないし、どうしよう……