令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「お話なら、今、ここでお願いします」

「ずいぶん他人行儀な言い方だね、栞ちゃん?」


そう言って、俊樹さんは口を曲げて笑った。目はちっとも笑ってない。この人って、こんな笑い方をする人だった?


「どこか静かな所で、ゆっくり話し合おうよ?」

「あの話ならお断りしたはずです。それに、私はこれからお仕事ですから……」

「そんなものは休めばいい。つべこべ言わずに乗れ!」


俊樹さんに怒鳴られてしまった。こんな俊樹さんを見るのは初めてで、私は面食いつつ、益々俊樹さんが怖くなった。


「い、イヤです」

「へえー、僕に逆らうなんて悪い子だね。お仕置きしてあげるから、おいで?」


俊樹さんは気味の悪い事を言い、骨ばった白い手で私の腕をムズッと掴んだ。