令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

絵理には悪いけど、俊樹さんに迎えに来てもらう気はさらさらなく、電車で帰るつもりだ。

扉を開けてお店の外に出たら、冷たい木枯らしが顔に吹きかかった。そう言えば、もうすぐクリスマスだなあ。

えっと、駅は確かこっちよね……


足を一歩踏み出した時、誰かにグイッと腕を掴まれた。振り向いた私の目に映ったのは、見覚えのある黒いジャケット。そして見上げれば……ま、松本さん!?


「彼氏に電話しないのかい?」

「…………!」


驚きすぎて声が出ない。


「“俊樹”とかいう男、あんたの彼氏なんだろ?」

「ち、ちが……」


『違います』と言いたいのだけど、うまく言葉が出なかった。それにしても、なんで松本さんは俊樹さんの事を知ってるの?