令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「遠慮する事ないって。ほら、電話して?」

「でも……」

「早く!」


絵理は一度言いだしたら聞かないところがある。という事で、素直に従う事にした。

私はバッグから携帯を取り出し、ロックを解除し、連絡帳を開いた。その間、絵理はニコニコしながら立っていた。


「絵理?」

「早く電話して?」


絵理は、私が俊樹さんに電話するのを見届けるつもりらしい。


「ちゃんと電話するから、絵理はみんなの所に戻って? 早く戻らないと、みんな心配するから……」

「ん……わかった。ちゃんと電話するのよ?」

「うん」

「じゃあね。今夜は本当にごめんね?」

「ううん。絵理のせいじゃないから、気にしないで?」


私は絵理に小さく手を振り、彼女の後ろ姿が見えなくなったのを確認し、携帯をバッグに戻した。