「ただいま……」

「あら、お帰りなさい。今日はずいぶん早いのね?」


ママが不思議そうな顔でそう言ったけど、それはもっともな事だと思う。だって、いつもは悠馬さんと電車と徒歩で、しかも家の前でしばらくお話したり、キスなんかもしちゃうわけで、それなのに今夜は車で真っ直ぐだから、いつもよりうんと早い時刻に帰って来たから。

その悠馬さんとのひと時が、最近の私の一番の楽しみなのに、それをパパに妨害されたわけで……頭にきちゃう!


「パパはどこ?」

「書斎にいると思うけど、どうしたの?」


さすがにママは私の尋常でない様子に気付いたみたいで、椅子から立ち上がると私の方へ歩いて来た。


「私、パパに文句を言うの」

「“文句”? いったい何があったの? ママに話してみて?」

「う、うん。パパったら……グスン。酷いの……」


ああ、もう……。心配そうに私を見つめるママを見てたら、涙が出て来ちゃった。