令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

しばし睨み合った後、吉田泰造は、本来は怒鳴りたいところをなんとか堪えた、って感じで、静かに語り始めた。


「昨夜の君のわしへの態度で、君がわしに悪意を抱いている事は分かっていた。その訳は、やはり父上の死と関係があるようだね?」


こいつ、惚けてんのか? そんなの当たり前だろうが。

そう言いたかったが、俺も吉田泰造の真似をして、冷静さを装う事にした。こいつにガキとかチンピラとかに見られるとしゃくだから。


「へえー、俺、態度に出てましたか? 俺もまだまだだなあ。はい、確かに俺はあなたに悪意を持っています。いや、悪意なんて生易しい言葉は不的確だ。より的確な表現としては……憎悪、ですかね」


そう言って俺がニヤリとすると、吉田泰造は眉間をピクッとさせた。爆発寸前って感じだ。


おそらく普段の吉田泰造なら、とっくに癇癪を起こして俺を怒鳴り飛ばしてるだろう。

しかし、今それをしないのは、栞が関係してるからに違いない。やはり吉田泰造の弱点は孫娘の栞、と踏んだ俺の判断は正しかったな。