令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

女が出て行き、扉が閉じられると、それを待っていたかのように吉田泰造は口を開いた。


「無駄な時間は省きたいから言っておく。悪いが、君の事は調べさせてもらったよ」

「たった一日でですか?」

「それだけあれば十分だ」


正直言って、俺は吉田泰造がそこまでするとは思ってなかった。俺は、この吉田泰造という男を、甘く見ていたかもしれないな。


「君の父上は、気の毒だった」


続いて吉田泰造は一言そう言った。本当に一言だけだった。しかも頭を下げるでもなく、気の毒そうな顔すらせず、まるで下手な役者が台詞を棒読みしたかのように。


俺は怒りがふつふつと湧き上がり、

「盗っ人猛々しいとはこの事だな」

と、思い付いた言葉を吐いた。言葉の使い方が合ってるかは分からないが、少なくても吉田泰造に俺の怒りは通じたようで、奴はさも憎々しげな目で俺を睨みつけた。