令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

席に戻ってからも松本さんからの視線は続いた。他の男の人からゴルフや家族の事とかを聞かれ、多少の会話をしたけど、そのやり取りの間も松本さんは会話に入る事なく、ずっと私を見ていた。


その纏わり付くような視線が気になって気になって、お料理を食べる気にもならない。松本さんから話し掛けられたらどうしようと思っていたけど、無言で睨まれる事の方がもっと辛いと思った。


いっそ私から松本さんに話し掛けてみる?

一瞬そう思ったけど、どんな話をすればいいのか見当も付かない。やっぱり無理だ。

ああ、なんだか気持ち悪くなってきちゃった……

もうダメ。限界。息苦しくて気持ち悪くて、このままこうしていると、私はきっと倒れてしまう。


「絵理……」


私は小声で絵理に声を掛けた。


「ん?」

「私、気分が悪くなっちゃった。だから……」

「えっ、そうなの?」


絵理は私の顔を覗き込み、


「確かに顔色が悪いわね。帰った方がいいわ」


と言ってくれた。


「うん。じゃあ、悪いけどそうする……」