令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

杏里さんは、“なによ?”と言わんばかりに、迷惑そうなお顔を私に向けた。


杏里さんと私は殆どすれ違いで、お店でお会いするのは二日に一回ぐらい。しかもごく短い時間だけ。

という事もあって、杏里さんと私は今ひとつ打ち解けていないと思う。


私は慌てて手提げ袋に手を入れ、手触りで中を確認しながら、大きめな包みを取り出した。杏里さん用の、実は絵理のも同じなのだけど、ハワイアン・キルトの可愛い手提げバッグだ。それを、


「長らくお休みしてすみませんでした。これは、その、お気に召すか分かりませんが……」


と言いながら、杏里さんに差し出した。


「いいわよ、そんなの。あたしは別に……」


杏里さんは昼勤で私は夜勤だから、杏里さんには迷惑をかけていない、という意味だと思うけど、もちろん“そうですね”なんて引くわけには行かず、

「そう仰らずに……」


と、少し強引に受け取っていただいた。

すると杏里さんは、


「悪いわね。じゃあ……」

と言い、包みを持って帰って行った。

早速包みを開き、「おお、カッコいいなあ」と、感嘆の声をあげる店長さんとは対照的だった。


さてと、次はいよいよ悠馬さんだわ。