令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

栞の両親や栞自身からハッと息を飲む気配がしたが、俺はそれには構わず、吉田泰造の反応に注目した。


吉田泰造は、微かにではあるが、その細い目を開き、きつく結んでいた口を、やはり微かだが開いた。そして、何かを思い出そうとするかのように、俺の顔を凝視していた。


よし。吉田泰造は、間違いなく俺がおやじさん、即ち松本和夫の息子だという事に気付いたと思う。

そして、俺の顔からおやじさんの面影を探そうとしたらしいが、それは難しかっただろう。なぜなら、俺はおふくろさんの方の血筋を強く引いているから。おやじさんの面影を残すのは、妹の由紀の方だ。


俺としては今日の目的を果たしたわけで、一応は満足だが、果たして吉田泰造はどう出るだろうか……