令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

夕方になり、俺は白いワイシャツにネクタイを絞め、グレーのスラックスを履いて濃紺のブレザーを着、その上に黒のハーフコートを引っ掛けて家を出た。

こんな堅苦しい格好は好きじゃないし久しぶりだ。例えばタイを絞めたのはいつ以来だろうか。思い出せない程久しぶりで、首が窮屈で気持ち悪い。高校の時はいつも緩めてだらしない格好をしていたが、もうそうも行かないだろう。


電車に乗り、栞んちから最寄の駅で降りたのは、栞と約束した時刻ちょうどだった。

改札を通りながら前を見ると、壁を背に姿勢良く立つ栞の姿があった。今日もモコモコした白いコートを着た栞は、まるで何かの絵本から抜け出して来たお姫様のようで、そこだけ光が当たっているように見える。


俺の目が悪いせいではない証拠に、通り過ぎる若い男共が栞をスケベったらしい目で見てやがる。


あいつ、いったい何時からああして立ってるんだろうか。10分、いや5分でもヤバイって……


そんな事を考えてるそばから、後ろから栞に近付く男がいて、俺は急いで栞に近付き、「待たせてごめん」と、いかにも待ち合わせてた彼氏っぽく笑顔で言った。すると、栞に近寄ろうとした男は小さく舌打ちし、どこかへ行っちまった。

ざまあ見ろ。栞は俺のもんだ。少なくても、今は……